リノベーションの関連情報
リノベーションとは、
リフォームと比べて大規模な建物の改修のこと。本項で詳述する。
英語のrenovationは建物の改修のこと。英語でreformは改宗、心を入れ替えるという意味で建物の改修の意味には使われない。リノベーションとは、既存の建物に大規模な改修工事を行い、用途や機能を変更して性能を向上させたり付加価値を与えることである。マンションの一部屋から一棟、また、木造・RC造・鉄骨造等、特に構造に関係なく行うことが可能。
※テキストはWikipedia より引用しています。
母が経営している木造アパートが駅近くにある。全部で10室の小さなアパートだったが、場所が良いことや公園が隣接しているという環境からか、いつも全室埋まっていて空きがあるということはなかった。母の自宅もすぐ側にあったから掃除やちょっとしたメンテナンスのためにすぐ行けたし、家賃も相場並み、住みやすい環境だと思う。
たまたま近くまで出かけたある日、ケーキを持参して立ち寄ってみた。私は結婚して別に世帯を構えており、弟が母と同居してメンテナンスの手配や掃除などを行っていたのだ。実家の門を入ったところで、管理をお願いしている不動産会社の担当者とばったり顔を合わせる。お互い挨拶を交わす程度の仲だが、何か浮かない顔をしていたような気がする。
母は縁側に腰を下ろして、庭を眺めていた。目が合うとパッと笑顔が広がる。ケーキを差し出すと、中にいらっしゃいというように手招きする。冷蔵庫からパックのアイスコーヒーを取り出すと、グラスを氷で満たす。「さっき、不動産屋さんと会ったよ」母が頷く。「家賃を下げる気はないか、交渉に来たのよ」。何故?!私の疑問を察したのか、母が言う。「最近、空室が出るようになったの」。
「幸いたいていは空室になってもすぐにうまってしまうのだけど、一度空くとうまるまでの時間が長くなったと言うか」「家賃を下げればすぐに解消されると言うの?」母が無言で否定する。「でも駅近でも新築のマンションやアパートが建ってきているでしょう?やっぱり新しい方が人気なのは仕方ないのよねえ」。それに、と続ける。「キッチンやお風呂なんかの設備も古くなっているし、かと言ってお金かかるし。痛し痒しと言ったところね」。
場所が良かった故に、今まで空室の心配を余りしてこなかった。そのツケが回ってきたのだろうか。「今度不動産屋が来るまでに、どうしていくかある程度まとめておくことになったの。あちらはあちらで提案をまとめてくる」そして母は笑ったのだ。「家はそれでも恵まれているのよ。もし空室がたくさん出るようになったら、老人ホームにしてお友達と楽しく暮らそうかしら」。